ゴキブリの繁殖 〜のぞいてみよう!台所の裏〜

求愛
 一般的にゴキブリの求愛は、まずはメスの方から行なわれます。メスはフェロモンを放出して、それをオスは触覚で感じ取ります。そしてオスは発信源のメスを目指して行動を開始します。成虫のオスとメスがであったら、まず触覚を触れ合わせてお互いを確認します。次にオスは背を向け、翅を上げます。翅の下の背中には刺激体(エクサイテーター)という器官があって、そこからメスとは別のフェロモンが出ています。メスは引き寄せられて刺激体をなめます。
 音を出しての求愛やその他のコミュニケーションを行なうゴキブリもいます。ハイイロゴキブリは、メスに知らん顔されたときや、交尾がうまくいかない時、コウロギのように足と羽と使って音を出して求愛します。マダガスカルゴキブリは喧嘩や、求愛のとき気門から空気を出してシュッシュッという音を出します。喧嘩のときと求愛のときとでは音の感じが微妙に違って、巧みに使い分けています。
 他にも種類によって様々な求愛方法を持ちます。

交尾
 刺激体から出るフェロモンにメスがうっとりしている隙にオスはメスの交尾器と接合します。接合するとメスとオスは180°反対を向いて、交尾終了までこのまま1時間以上つながっています。
 種類によっては、メスは1回の交尾で精子を体内に大量に溜め込むため、1回交尾をした後は何回も産卵できます。

産卵
 ゴキブリは、いくつかの卵がはいった卵鞘(らんしょう)というがま口のようなカプセルをつくり、卵を乾燥から守ります。カプセルをつけたままメスは行動します。クロゴキブリやヤマトゴキブリは孵化の一ヶ月前くらいに卵鞘を体から離し、その後卵鞘は孵化まで放置されます。チャバネゴキブリは孵化まで卵鞘を体につけています。卵ではなく、孵化した幼虫を産む卵胎生のゴキブリもいます。


卵鞘の断面

卵鞘の中に卵が二列にきれいに並んでいるのが分かります。

ゴキブリの断面図


誕生!そして成長
 卵鞘ができてから、短い種では15日、長い種では90日ほどで孵化します。卵鞘を破ってたくさんの幼虫があふれ出ています。生まれたての幼虫は透明でやわらかい存在ですが、1〜2時間で硬くなってきます。幼虫の姿は成虫とほとんど同じですが、翅が無く、触覚や尾毛も短いです。その後脱皮によって段々大きくなっていきます。チャバネゴキブリの場合、5〜7段階に分かれて成長し、各段階は5〜14日かかり、成虫になるまで50〜70日かかります。
 脱皮の時には、まず幼虫は大きく空気を吸い込みます。すると外皮が頭から尾の先まで背にそって裂けます。そして新しいゴキブリが現れます。新しいゴキブリの外皮は白く、しわが寄っていますが、幼虫は空気をさらに吸い込むことによって体を膨らませ、しわを伸ばします。さらにしばらくたつと外皮は黒く、硬くなります。この作業を終えたゴキブリは目に見えて大きくなっています。ちなみに脱ぎ捨てられた外皮は脱皮の後に栄養俸給として食べてしまいます。

子育てするのか?
 たいていのゴキブリは卵鞘を産み落とすとどこかへ行ってしまい、生まれた幼虫は自分で自分を守っていくしかありません。ゴキブリは巣を作るといいますが、これは集合フェロモン(フンに含まれる)にひかれてたんに集まっているだけでアリやハチのような社会性などありません。しかし、集まると暖かく、湿度も上がるので住みやすくなり、幼虫の生育速度は上がります。また、野生に住むある種のゴキブリは幼虫がある程度成長するまで母親が外敵から守ったり、餌を与えたりといった子育てのようなことをします。


増殖
 家の中はあったかいので季節に関係なくゴキブリは卵を産み、増えつづけます。ゴキブリの中でも繁殖力の強いチャバネゴキブリについてここでは考えます。120日前後の寿命の間にメスが、卵が40個入った卵鞘を5回産んだとします。すると子供は

で、200匹生まれます。200匹中、オスとメスは半分づつで、しかも全部が生き残ったとします。その中の100匹のメスがまた一生の間に卵40個が入った卵鞘を5回産んだとします。すると孫の世代には、

で、2万匹にもなります。もっとも、実際は餌の不足などによって途中で死ぬため、ここまで極端な数にはなりません。でも、繁殖力の強さはわかると思います。卵鞘を持ったゴキブリが家の中に入って、そのままほっといたら1年もあればものすごい数になります。